今まさに我々を取り巻く環境は、答えの見えない暗闇に閉ざされている状況であると思います。行動しようにも心の中にある「不安」が顔をのぞかせ、身動きが取れない。仲間とともに歩もうとしても、向かう方向が定まらない。歴史を振り返ってみても、時がめまぐるしく変化しているので、答えが見つからない。本来ならば足元を固めなければ行動出来ないはずなのに、時代に取り残される不安から不安定な状況で行動しなければいけない中で、我々青年会議所は、何を考え、何を見つめて行動しなければいけないのでしょうか。我々の住むこの北海道は、日本でも有数の自然環境を有し、世界にも認められた「知床自然遺産」や、日本一の来場者を記録する「旭山動物園」があります。ひとつは、地球の財産を、今を生きる人類がその価値を見出し、次代に残さなければいけないという使命のもと、懸命に守り続けた決して人間の手で創ることのできないもの。もうひとつは、精一杯の努力で、閉塞感あふれる当事者意識を変革し、その存在価値を見つめて立て直し続けている人間にしか創ることが出来ないもの。まさに北海道が進まなければいけない方向性を現わしていると思います。それは、今を生きる人間が未来を見つめなければ、決して存続することが出来ないものなのです。
この広い北海道において、自己の問題だけではなく、未来を見つめて行動している人間がどのくらいいるでしょうか。みなさんもご存じのように、近年道内企業の不祥事が頻繁に全国ネットで報道されています。昔の道民の印象を全国の方に聞くと「北海道の方はおおらかで、広い心を持っていますよね」と大抵の方は言っていただけたはずです。しかし今はどうでしょう。自分だけ、会社さえ良ければ、といった利己的な考えが蔓延しているような気がするのは私だけでしょうか。この北海道は先人達の手によって多くの試練を乗り越えて開拓されました。先人達は何を思ってこの未開の地に乗り込み、辛く厳しい開墾の日々を過ごしたのでしょう。それは、自らの家族やこれから北海道に来る人々、さらには子や子孫の豊かな暮らしを夢見ていたに違いありません。
利他を思い、決して自らが見ることのできない未来に向かって今自分が出来ることを精一杯成し遂げた礎があるからこそ、我々はこうして暮らすことができるのです。
今まさに、北海道は大きな岐路に立たされています。決して後ろに進むことが出来ない状況において、誰かが進む道を決めてくれるのでしょうか。私は違うと思います。これからの進むべき道は、道民が子や子孫を思い、未来に目を向けていかなければ決して道は開けないと考えます。その中において誰が先陣を切り、この混沌とした北海道において時代の開拓者となるのでしょうか。私は志を同じく明るい豊かな社会の実現に向けて日々活動している、全道1900名の青年会議所メンバーでしかないと確信しています。今こそ共に手を繋ぎ、「OMOIYARI」の精神を復活させ、未来に笑顔が広がる豊かな社会の実現に向けて北海道JCの総力をあげて進む時なのです。
我々だからできること。我々にしかできないこと。
2006年度より北海道地区協議会は大きく組織進化を成し遂げました。最大の目的は道内各地に点在するLOMの活力(ちから)を結集させ、この北海道再生の原動力とすることでした。よって2007年度も様々な場面にて各地LOMメンバーの協力のもと「北海道JC」を強調し運営をしてまいりました。昨年は「社団法人日本青年会議所第56回全国会員大会帯広大会」を主管並びに副主管一丸となって成功裏に収める事ができました。これも「北海道JC」の力が結集した形であると考えますし、今までみなさんが歴史と伝統の中で培ってきた礎があったからに違いありません。2008年度はこの全国会員大会帯広大会において体感することができた力の結集を、より進化させ全道1900名の青年会議所メンバーが一丸となれるよう多くの気づきの場面を提供させていただき、日常的に各地域にて体感できるように北海道地区協議会と各地LOMとの連携をより強力に推進してまいります。また、今まで行ってきた地区事業も、その目的をより明確にさせていただき、公益性とは何かという事を念頭に置きながら、青年会議所が行わなければいけないことは何かという事も、各地LOMメンバーと議論をさせていただきます。そうすることで、各地域の道民と「明るい豊かな社会の実現」に向けて活動されている各地LOMメンバーの運動展開のお役にたてると考えています。そして多くの地域にて同じようなJC運動を展開することで、今までの運動との相乗効果でより信頼性を増し市民のリーダーとして、したたかでより強力にJC運動の発信ができると確信をしています。しかし、決して謙虚さを失ってはいけません。我々は臆さず卑屈にならず、上から見下すこともしない、常に「水平な目線」で市民に語りかけなければなりません。市民から共鳴が得られるJC運動と共感があふれる姿勢が相俟ってこそ我々の存在価値が発揮できるのです。これが市民の意識を変革し、地域がより豊かな未来へ向けて歩み始めるのです。
Jayceeの前に我々は「日本人」である
近年、北海道駒大苫小牧高等学校の甲子園での活躍や、北海道日本ハムファイターズやコンサドーレ札幌の躍進などで、道民の心は一つになっています。地域格差が叫ばれている昨今、北海道を本拠地としている団体がその頂点に立とうとしているとき、我々は「どさんこ」であることに誇りを感じているはずです。そのことは大変素晴らしいことですし、これからも道民一人ひとりの心の豊かさを醸成するには必要不可欠であると考えます。しかし、その反面日常の暮らしの中で「どさんこ」を意識することはあるでしょうか、さらには「日本人」という事を意識しているでしょうか。スポーツに代表されるような国際試合などでは「国歌」「国旗」に対して何の憂いもなく、「日本人」としての誇りを感じることはあっても、国際問題や政治、経済、また教育や日常の生活において強く「日本人」である誇りを感じている方は少ないように思います。古来より日本人が持ち合わしているはずの利他を思いやる精神、倫理感や道徳心などのアイデンティティが少しずつ忘れかけているような気がしています。もし忘れているのならば思い出すことはできますが、教えられていなければ、その言葉の意味すら分からないのです。その責任は今を生きる我々が担わなければならないと考え、2008年度は失われかけている日本のアイデンティティの復活にも積極的に取り組んでいきたいと考えています。教育再生や憲法問題、地域主権の確立に向けた様々な取り組みを通じて、「日本人」としての誇りを今一度取り戻していただき、これからの未来に向けて「日本人」の皆さんが笑顔あふれる素敵なコミュニティを各地で創っていただき道内全体に広げることで、閉塞感あふれる北海道に新たなる息吹を皆さんで吹き込んでいきましょう。
「LOMの活力」(ちから)が「地域の活力」(ちから)に繋がる
近年、北海道が先駆けて取り組んでいる「道州制」は日本各地で青年会議所を中心に広がりを見せています。行政と連携をもちJC運動との相乗効果により市民の意識を変革させる訴求力が生まれました。これは常に「明るい豊かな社会」の実現に向かって行動する青年会議所の存在価値を市民が認めているからです。
地方行政に対して時にはパートナーとなり、時には市民の声を代弁し議論を重ねる。この歴史こそが青年会議所が常に運動を展開しているあかしなのです。
北海道においても、夕張市に代表されるように地方行政は厳しい状況にあります。特に財政面では多くの地域で「第2の夕張」と言われることが多いかと思います。
しかしながら、この状況は道外の地方行政も同じなのです。この北海道は人の熱き思いにて開墾されました。我々のDNAにはその「開拓者魂」が今もなお息づいているはずです。地域再生のシステムは多くある中で、行政が担えばいいという考えは今すぐ払拭していただき、「この街は市民とともに我々が創る」という開拓者魂を北海道JCメンバーがお持ちをいただいて、この難局を乗り越えていただきたいのです。その為に北海道地区協議会としても全面的に各地LOMをサポートさせていただき、また行政の架け橋を積極的に行ってまいります。
北方領土問題早期解決に向けて
2006年8月北方領土、貝殻島周辺にて一人の青年がロシア国境警備隊の銃弾を受け非業の死を遂げました。納沙布岬から目と鼻の先、一人の青年の命を奪った銃撃音が今でも聞こえてきそうなその場所は1945年当時のソビエト社会主義共和国連邦に不当に占拠された領域です。戦後60年以上もたった今でも、この問題は解決の糸口さえも見えない状況にあります。北海道地区協議会としても毎年北方領土返還に向けた運動を日本JCと連携しすでに38回を迎えました。その間、ソビエト社会主義共和国連邦は崩壊しロシア連邦になった今でも、話し合いの進展は見られません。そこで、青年会議所としても今一度原点に返り、この領土問題の歴史的背景や今の実情の把握、そしてなぜこの問題を青年会議所が率先して運動展開を行うのかという事を見つめ直し、重層的な日本JCの組織を有機的に活用し、早期解決に向けた運動を声高に発信してまいります。それと同時に国益の観点からも、「ここでしか見ることのできない場所」という使命を持って国内の領土領海問題にも積極的に取り組み、「北方領土は北海道の問題ではなく日本の問題である」という事を北の大地から発信してまいります。
北海道から世界を考える
2008年度は、北海道洞爺湖周辺におきまして「北海道洞爺湖サミット」が開催されます。
昨年の「ハイリゲンダム・サミット」を踏まえ本年は「環境」がテーマに上がるでしょう。全国を見ても北海道は自然環境が豊かで観光として産業が成り立つまでになっています。裏を返せばそれだけ日本はもとより世界でも自然がどんどん失われているのです。
今こそ親から子へ、そして子孫へと残さなければならないのは、お金や企業ではなく、まさしく「豊かな自然を次代につなぐ心」なのです。2008年度は「OMOIYARI」の心を持つ日本人として個人が出来る些細なことから、LOMで出来ること、そして各地域で出来ること、更には北海道全体または日本から全世界に発信できる運動を各地LOMメンバーと一緒になって実践してまいります。それと同時にJC運動に発信力をつける為にも「北海道洞爺湖サミット」が開催される地域という事を念頭に置き運動展開していきます。
思い出して下さい、1992年「地球環境サミット」にて当時12歳のセヴァン・スズキという女の子の一言を。「なぜあなた方は、子供たちにするなと言っていることをしているのですか」。我々は知らず知らずのうちに足元を見失ってはいませんか。大人は子供の鏡であるという事を忘れていませんか。今こそ「OMOIYARI」の心の醸成を図り、道民とともに「明るい豊かな社会」の実現に向けて進むときなのです。
社会の負託と信頼に与する組織として
2008年度は公益法人制度の改革元年であります。これは公益法人団体の活動や会計に対しより一層の開示性、透明性、公共性を求めたものになっています。日本JCはこの制度改革に積極的に対応してまいりますので、その組織の一部である北海道地区協議会も事業目的を今一度見直し、公益に値する事業を展開してまいります。これは決して表層的な考えではなくて、国内に数多くある公益法人の中においていち早く取得をすることにより、これまでの事業の公益性をより強調することができ青年会議所が設立以来、公共を見つめて運動展開してきたことを証明することができる。それと同時に今後ますます「明るい豊かな社会」の実現に向かって運動展開していることをより社会に対し発信することができるからです。
更には、市民と共に運動展開している各地LOMにも、積極的にこの公益法人制度改革にも取り組んでいただければと思います。北海道地区協議会内にて現在、公益法人格を有るLOMとそうでないLOMがあります。だからといってそれぞれが行う運動において大きな違いはあるでしょうか。我々は常に「明るい豊かな社会」の実現に向けて運動を行っている団体であります。今回の公益法人格取得に向けた取り組みは、移行や取得が目的ではなく、これまでLOMが行ってきた様々な運動が公益性を有していたことの再確認と、市民の意識を変革するために行っている運動により信頼性を付け加えることができるという事です。そして、広域的に行政の枠にとらわれることなく各地域を自立に向けさせるためには、LOMが中心となって運動展開していく必要があると考えます。その上で、同じ公益法人格を有するLOMであることは、社会的に同じ目的をもった運動体であるという事を表現する上でも有効であると考えます。北海道地区協議会においても各地LOMに対しては積極的に支援をさせていただく所存でありますし、管理監督官庁でもある北海道庁に対しましても、窓口を設け対応していきます。その結果、北海道地区協議会と各地LOMの運動が相俟って、多くの道民に対してこれからの各地域や北海道の再生の確かな方向を明確に指し示すことができるのです。
青年会議所は有機的な組織であり続ける
組織進化を経て3年目、みなさんは北海道地区協議会をどのように見ていますか。今までより結束が増し運動体として成長している。エリア制を敷いているため意見がしやすい。昔より会議が増えた。何となく出向しづらい。たぶん考えは全道1900名のメンバーがいれば1900通りの感じ方があるでしょう。各地LOMメンバーは各地域での運動展開や地域のリーダーとしての重責、そして北海道再生の担い手の一人としての責務と大変忙しい毎日を過ごしていることと思います。しかし時代の流れは予測がつかないほど早く、1年では解決できないことも多々あるかと思います。だからといってその歩みを止めてしまったらどうなるでしょう。現在の青年会議所があるのは先輩諸兄が、日々前を見つめながら苦しくつらくとも決してその歩みを止めることがなかったからではないでしょうか。その原動力は共に歩んでくれるメンバーが、LOMは勿論のこと、道内に数多くいるという信頼感であったと思います。そして、その意を継いでくれる仲間が横にいるという安心感であったと思います。本年もエリア連絡調整会議にて多くみなさんからのご意見を頂戴しながら「北海道の活力」(ちから)となりえるJC運動を展開させていただきたいと考えています。それぞれのエリアには担当副会長を責任者とし、また各委員会からはそれぞれ副議長、副委員長をエリア担当上程者とさせて頂くことで、多くの議論の場面を提供してまいります。この閉塞感に満ちた北海道、そして日本のアイデンティティ復活の為には各地LOMメンバー一人ひとりのコミットメントが必要なのです。それを持って全道1900名の青年会議所メンバー一丸となって、より強力に「気高き日本」の創造を北の大地から実現させましょう。
最後に
目を閉じて思い浮かべて下さい。笑顔が街中にあふれ子供たちが元気に走り回る風景を。それを見守るお父さんお母さん。その傍らでは孫たちと楽しそうに遊んでいるおじいちゃんやおばあちゃん。そんな風景が全道に拡がった時こそ我々が求めている「明るい豊かな社会」ではないでしょうか。この世の中には様々な有益なシステムがあると思います。すべてのシステムが有効的に機能すれば問題ないでしょう。しかし実情は「使える人間しか使っていないシステム」ではないでしょうか。道民が知り得ない情報があまりにも多くないですか。決して誰かにまかせるのではなく、自らが能動的に動かなければ何も変わりません。変わろうとしない人がいれば、それに対し真っ向から異論を唱える人がいなければ、未来はあるのでしょうか。私はその使命は青年会議所にあると考えます。なぜならば我々は常に信頼している仲間とともに志を同じくしてこの言葉を唱えているからです。
われわれJAYCEEは
社会的・国家的・国際的な責任を自覚し
志を同じうする者 相集い 力を合せ
青年としての
英知と勇気と情熱を持って
明るい豊かな社会を築き上げよう
この綱領を胸に全道1900名の青年会議所メンバー一丸となって、混沌とした北海道を、明るい豊かな社会へと導きだす時代の志士となり、北の大地の未来を切り開きましょう。
一年間よろしくお願い申し上げます。
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